楽器紹介 ~ カリヨン
カリヨン(鐘)の紹介
訳あってカリヨン(鐘)を入手しました。
チャイムでは出せない音色・・・素敵です。
この楽器を使い、KPGにしか出来ないアンサンブルを考えています。
カリヨンの予備知識
Carillon (カリヨン)
カリヨンは、メロディーを演奏する「組み鐘」を意味しています。
異なる音(音名)を持った鐘を、数個あるいは数十個組み合わせた、「鐘の演奏装置」をカリヨンと呼びます。
Carillonは、フランス語と英語の普通名詞で、「カリオン」ではなく、「カリヨン」に近い発音になります。
また、ドイツ語ではGlockenspiel(グロッケンシュピール)と呼ばれ、「鐘演奏」を意味します。
カリヨンは中世ヨーロッパ、地域的には現在のベルギーとオランダで生まれ、その後全ヨーロッパに広がって行きました。
日本でも、1970年大阪万博のオランダ館で、カリヨン28鐘が紹介されて以来、各地で設置されるようになりました。
鐘&カリヨン
1個とか2個の少数の鐘の場合、あるいは鐘の数が多くてもスイングベルの場合は、カリヨンとは呼びません。
カリヨンは、「鐘のメロディー演奏、あるいは演奏装置」を意味しますので、1個とか2個の鐘では、1音(音名)とか2音(音名)しかなく、メロディー演奏は無理で、リズム演奏程度になってしまうからです。
カリヨンを、鐘の数によって厳密に定義する向きもありますが、一般的には、聴く人が「メロディー演奏だ」と感じる鐘の組み合わせを、カリヨンと呼んで差し支えないでしょう。
旋律が単調で、リズム演奏に近い鐘の組み合わせは、単に「鐘」と呼びます。
英語ではBell(ベル)、フランス語ではCloche(クロシュ)、ドイツ語ではGlocke(グロッケ)です。
カリヨンの鐘は、すべてオーダーメイドです。
鋳型を作り、銅と錫の合金のブロンズ(青銅)を溶解して、鋳型に流し込んで鋳造します。
鋳型から取り出し、調律され、音合わせされます。
オーダーしてから完成まで、3~5か月掛かります。
以上、カリヨンセンターホームページより引用
カリヨン(鐘)は建物の守り神
鐘は紀元前1万年頃に中国やインドで誕生したといわれ、アフリカ、ヨーロッパなど 世界中の民族に広がりました。
鐘はアフリカでは健康と子孫の繁栄を保証するものとされるほか、多くの宗教で建物の守り神とされています。
たとえばキリスト教会でも仏教寺院でも、鐘は悪魔や不幸を追い払う力を持つものとして、大切にされてきました。
複数の鐘を組み合わせてメロディーを奏でるカリヨンが登場したのは15世紀のことです。
カリヨンが楽器として演奏されるだけでなく、建物に取り付けられて、一定の時刻ごとにメロディーを奏でることが多いのは、鐘の持つ悪魔祓いの力への信仰が現代人の間にも生きているせいかもしれません。
(参考資料:『楽器の仲間』同朋舎出版・1994年刊)
入手経歴
ジャスコ・サンリバー店の紹介
KPGのカリヨンを語る上で、忘れてはいけない話しです。
サンリバーは、平田ショッピングセンターが経営し、その中の各店舗にジャスコが入っていると言うスタイルで1977年11月23日にオープンしました。
ショッピングセンター内には77の専門店があり、外のイベント会場では、さまざまな催し物が開催されていました。
しかし、不景気で業績悪化。
おまけに、イオン四日市北ショッピングセンター(ジャスコ)が富州原町に出来きて、客足が減ったのも業績悪化の原因の一つだったのでしょう。
2001年5月31日をもって食品売り場以外のジャスコサンリバー店を閉店する、ということが発表された。
生鮮食料品売り場は引き続き、ジャスコとして営業を続けるが衣料品や文房具類などのジャスコ部分が閉店するという事。
しかし、サンリバー自身は、5月にはまだ閉店しないという話でした。
77の専門店も一部はイオン四日市北ショッピングセンターに移り、専門店の無くなったサンリバー内は閑散とした状態になってしまいました。
こうなると、閉店も時間の問題のように思えてきます。
2001年8月31日、ついにジャスコ・サンリバー店が24年の歴史に幕を降ろす事になりました。
イオン四日市北ショッピングセンターが出来てから、7ヶ月でのスピード閉店となります。
閉店前のジャスコは、1階の半分(ジャスコの食品を含む)だけ、それと2階の喫茶店1店舗だけの営業となっていました。
2階の文房具売り場のところとかが荒れている状態で「これ以上入らないで下さい」と書かれている注意書きは涙を誘います。
ゴーストタウンのようで、本当に悲惨でした。
私が三重県に引っ越してきて、初めて行った大型ショッピングセンターは「サンリバー」でした。
買い物といえば、「サンリバー」が定番になっていたので、閉店は凄く寂しかったです。
鐘の広場
これが、サンリバー内の店舗図です。
店舗図の詳細
1階 1:ジャスコ衣料 2:専門店 3:ジャスコ食品
2階 1:ジャスコ衣料 2:専門店 3:ジャスコ雑貨 4:ギガスカンサイ
1階の赤い丸印の所に「鐘の広場」がありました。
この鐘の前で、色々なイベントが開催されていました。
カリヨン入手の経緯
2001年8月31日、これでジャスコも最後だと思い仕事が終わってから閉店セールに行きました。
在庫商品は破格値で売られ、陳列に使われていたと思われる備品まで売られていました。
なんか「売れるものは何でも売ってしまえ」みたいな雰囲気でした。
そんな商品を見ていて、ふと疑問が。
「そういえば、あの鐘はどうなったんだろう?」(この辺が打楽器奏者な考え)
そう思うと、いてもたってもいられません。
だって、明日になる廃棄処分になるかもしれないし、入手しようにも二度と手に入らないだろうし。
早速、サービスカウンターに行き、鐘の事について尋ねました。
しばらくすると、担当の人がやってきました。
閉店後、鐘の処理はどうするのか?譲って貰えないか?と恐る恐る聞いてみました。
すると、「どうせ処分するものだから、譲ってもかまわない」と言う返事が!
なんという、幸運!
早速、引き取り日などを打ち合わせし、その日は帰りました。
引き取り日は明日ということになりました。
幸い、9月1日は土曜日だったので、会社は休みです。
人手を手配し、道具を準備して閉店となったサンリバーへ向かいました。
取り外し作業は思いのほか、大変なものでした。(一番重い鐘で40kg弱ですから)
カリヨンの仕様
カリヨンタワーの脇にあった説明ボードには、こう書かれていました。
サンリバーの新しいシンボル カリヨン(鐘)タワー
サンリバーの新しい名所、カリヨンタワーには大小16個の鐘(カリヨン)が吊られています。
午前10時から午後7時までの毎時、コンピューターにより、合計40曲の演奏が、 四季に応じて奏でられます。
この鐘は、本場ヨーロッパのトップメーカー”ロイヤル・アイズ・バウツ社”(オランダ)により 製作され、同社社長、アンドレ・レアー氏は、オランダ国立カリヨン美術館の館長として、「鐘博士」の異名をとる、文字通り、カリヨンの神様的存在であります。
また、コンピューター・システムは、ベルギーのクロマティック社のそれぞれの 卓越した技術が導入されています。
これら世界最高峰のカリヨン演奏を是非お楽しみ下さいませ。
「合計40曲」とありますが、実際には聞いたことがありません。
設置当初は時間通りに演奏されていたみたいなんですが、サンリバー内の専門店が「鐘がうるさくて商売にならない」と苦情があったそうです。
確かに毎時、毎時に大ボリュームでの演奏は耐えられなかったでしょう。
私がサンリバーを訪れた時には、すでに自動演奏は停止していました。ですから、曲名はまったく分かりません。
当時、タワーの設置に関わった方に聞いて見ましたが、曲名は分からないという事でした。
仕様書など残ってないか確認してもらいましたが、見当たりませんでした。
せっかく、高い設備投資(なんと、1900万もしたそうです!)をしたのに無駄になってしまったと、担当の方は嘆いていました。
引き取りにあたり、自動演奏のシステムは持ってこれませんでした。
ぜひ、持ってきたかったのですが、電源は200Vだし、大型の設備//だったので、 泣く泣く諦めました。
今頃になって、ちょっと、後悔しています。
カリヨンの仕様(単位:mm・kg)
No. | M1 | M2 | M3 | M4 | M5 | M6 | M7 | M8 | M9 |
音階 | C | D | E | F | F# | G | G# | A | A# |
直径(A) | 390 | 345 | 320 | 305 | 295 | 285 | 270 | 260 | 250 |
高さ(B) | 320 | 290 | 265 | 255 | 240 | 225 | 220 | 210 | 200 |
重量 | 38 | 27 | 21.5 | 19 | 17 | 14.5 | 13.5 | 12 | 11 |
No. | M10 | M11 | M12 | M13 | M14 | M15 | M16 |
音階 | B | C | C# | D | D# | E | F |
直径(A) | 240 | 230 | 220 | 215 | 210 | 200 | 195 |
高さ(B) | 190 | 190 | 185 | 170 | 170 | 160 | 155 |
重量 | 9.5 | 8.5 | 7.5 | 7.5 | 7.5 | 7 | 6.5 |
なんと、総重量 227.5kg!!
運搬だけでも一仕事です。
専用スタンドの紹介
一番重たいカリヨンで38kgもあるから、ヤワなスタンドだとマズイ。
そこで、金属フレーム製の、かなり頑丈なスタンドを設計し見積もりを取ったら14万も掛かるという事!
さすがに、そんなお金は無いので丈夫なシンバルスタンドを改造してみる事にしました。
とりあえず、安くて丈夫そうなキクタニミュージックのスタンドを2本注文。
試しに乗せてみたが、少々足がグラつき不安が残るが大丈夫のような感じだ。
しかし、高さ調整用のネジが簡易型なので、重さに耐え切れず高さを調整してもスタンドが縮んでしまう。
なんとか固定できないか思案した結果、パールのメモリークランプを使う事にした。
これならチューニングキーを使ってシッカリ止められるのでスタンドが縮んでしまう事はありません。
大丈夫そうな事が確認できたので、残る14本のスタンドを買ってカリヨン用に改造する事にしました。
まず、ホームセンターで見つけたベースにネジを溶接して、スタンドの頭に付いているシンバルを固定する所を取る。
加工したベースをスタンドへ溶接する。
言葉にすると簡単そうなんだけど、これが難しい!!
スタンドのパイプ肉厚が薄いので、溶接するとすぐに穴が空いてしまう・・・
苦戦しながら、なんとか16本分の溶接が完了。
カリヨンをセットした時にガタなどがあると問題だから、間にウレタン製のブッシュを入れて、固定は化粧ナットで止める。
これでスタンドが完成した。
実際に並べてカリヨンをセットしてみました。
スタンドだらけで壮絶ですね。(汗)
あまり高くすると倒れた時に大怪我をしそうなので、なるべく低い位置にして座って演奏するスタイルにしました。
演奏する時はこんな感じになります。
本当にスタンドだらけって感じです。(笑)
16本のスタンドはKPGご用達の「アイリスオーヤマ」のRVボックス2つに入れて保管&移動をします。
安くて丈夫な、このケースは便利ですよ!
上記の方法は据付の場合は問題ないのですが、実際に演奏する時の移動とセッティングに異常なほど時間が掛かるのでドラムラックを利用したスタンドも考えました。
一番重い「C」の音と「D」の音、半音は作ったスタンドへ、残りの音をドラムラックへ取り付けます。
これまた、少々フラついた感じに不安が残るけど、大丈夫そうな感じだ。
ドラムラックにセッティングする事により移動の時間が短縮期待できるが、かなりの重さと持ち上げた時のバランスの悪さがあるので、大人4人で運んだ方が安全だろう。
とりあえず、当分はこの2種類の方法で演奏する事になると思うが、さらに丈夫な金属フレームでのスタンドを検討した方がいいだろう。
デモ音源
実際の音色
実際の演奏で使った時の音源です。曲名をクリックすると音源を聞けます。
※ 音源は、MP3形式になっています。(Windows Media Player 9 にて動作確認済)
演奏日 : 2012/3/11
団 体 : Kudou Percussion Group
説 明 : 彦根の「ビバシティ彦根」にて、東日本震災追悼イベント 【ビバシティ彦根
被災地支援企画『遠い日にしない、あの時』で演奏しました。
演奏依頼を受け、選曲・作曲・練習を約1ヶ月で行いました。
そのためか演奏クオリティは低いです・・・
未熟な演奏ですが、カリヨンとビブラフォンの演奏は下記より視聴できます。
曲 名 : ふるさと
マタイ受難曲
ジムノペディ第1番変奏曲
グリーンスリーブス
荒城の月
新世界より家路
浜辺の歌
明日に架ける橋
望みの鐘(KPGオリジナル)
演奏日 : 2006/11/19
団 体 : 美和吹奏楽団
曲 名 : A.リード/スラブ民謡組曲
説 明 : 2楽章で使うチャイムの替わりにカリヨンを使いました。
元の楽譜にアレンジを加えて少々ハデになっています。(笑)
演奏日 : 2006/6/10
団 体 : Kudou Precussion Group
曲 名 : Chitose.K / A Japanese Season
説 明 : KPGで初の打楽器アンサンブルの曲。
あねご作曲で、後半のカリヨンソロです。クリスマスのイメージです。
演奏日 : 2006/5/7
団 体 : 一宮ウインドアンサンブル
曲 名 : C.M.シェーンベルク/ミス・サイゴン
説 明 : これもチャイムの代わりに曲後半の所で使っています。
教会の鐘の音がイメージでしょうか。
演奏日 : 2005/3/13
団 体 : Kudou Precussion Group
曲 名 : サティ/ジムノペディ
説 明 : KPGでの初カリヨンデビューの時の曲。
あねご編曲によるピアノとのセッションです。
演奏日 : 2004/1/25
団 体 : 三重大学管弦楽団
曲 名 : ベルリオーズ/幻想交響曲
説 明 : 5楽章の魔女の鐘で使っています。
本当の音は1オクターブ下の音なんですが・・・
まあ、これはこれで良いのでは?
演奏日 : 2003/3/2
団 体 : 三重音楽発信Vol.4
曲 名 : マーラー/交響曲第3番
説 明 : 第5楽章で使いました。
実際はチャイムで演奏するのですが、カリヨンの方が曲に馴染みます。
演奏日 : 2002/11/24
団 体 : 四日市交響楽団
曲 名 : チャイコフスキー/1812年
説 明 : 一番最後に出てくる教会の鐘の音で使いました。
本物の鐘の音に近いのでチャイムより効果的です。
演奏日 : 2001/9/2
団 体 : 桑名吹奏楽団
曲 名 : R.スミス/海の男達の歌
説 明 : 序盤のシップベルをカリヨンでしてみました。結構音が通ります。
この曲が初のカリヨン使用。(と言っても1音だけ)